「コミュニケーション学」ってなんなん?

コミュニケーション学ってなんなのか?
とか、学んでどうするのか?

という説明を書こうかと思ったんですが
それを書いてもいまいち伝わらないかな、
かつ、面白くないなと思ったので、
どういうこと学ぶのかを書いてみようと思います。

コミュニケーション学では、いろんな「理論」を学びます。

今読んでいるのは、こちらの本なんですが

Applying Communication Theory for Professional Life - Dainton, Third Edition
Applying Communication Theory for Professional Life - Dainton, Third Edition

コミュニケーション学に限らず、学問には
それはもう、アリトアラユル理論がある。

理論中で、一番有名なのって「相対性理論」とかでしょうか?
あまりに有名な理論ですが、一般人が理解するのは至難の業って感じですよね。
もちろん、私もさっぱりわかりません(笑)

でも、コミュニケーション学で学ぶ理論はもっとわかりやすくて身近な現象についての「理論」です。

例えば、”Uncertainty reduction theory(URT):不確実性低減理論”
という理論をご紹介してみます。
これはBerger and Calabreseによって、1975年に発表された理論なんですが

1 コミュニケーションの主なゴールは、不確実性を減少させることである
2 人間は常に「不確実性」を経験し、それを不快に感じるものである
3 コミュニケーションは、「不確実性」を減少させるための手段である


という3つの前提に基づいて展開される理論です。

新しい環境、人間関係が始まるときには誰しも不安がありますよね。
実際、学生時代新学期が楽しくて仕方なかった、なんて人はあまりいないのでは?

新しい先生、クラスメートとうまくやっていけるのか?
学年が上がれば、勉強も難しくなるだろうし
不安でいっぱいのこの状態がまさに、「不確実性」なんですが
そもそもこの理論は、人間関係の初期段階の研究の中で生まれた理論でした。

この新しい環境で、新しい人たちにどういう行動をとったらいいのか?
わからなくて不安でいっぱいの人間はまず
1.コミュニケーションを通して不確実性を減らそう

というゴールを、おそらく無意識的に設定します。

だって、2.「不確実性」って不快ですからね。

問題は、3.「不確実性」を減らすためにどうやってコミュニケーションをとるのか? ですが

ちなみに、不確実性を減少させたいという欲求が生じる条件
というものがありまして、

1 将来、その相手との相互関係があると予想される場合
2 インセンティブ・バリュー:その人との不確実性を減少させることで自部に利益がある、または害がある場合
3 deviance(逸脱性):自分の予想と違う行為を行う相手にたいして、不確実性を減少させるための行動をとりたいと思う


新しいクラスメートですから、当然 1.「相互関係」があると予想されますよね。

さらに、その不確実性を減少させれば、もっとリラックスして毎日過ごせるわけですし
減少できなければ、さらに、不確実性が増すなんてことがあれば
毎日の学校生活はどうなることやら・・。

ということで、2.のインセンティブ・バリューも大アリです。

さらに、初めて会った人の行動って気になります。
昼休みのすごしかた、笑いのつぼ
付き合う友達の種類
LINEを交換すれば、メッセージ送るタイミングだって
自分の予想とは違うことがおおいにある。3.逸脱性の塊です。

そこで、どういう行動をとるか?が問題なわけです。

●Uncertainty Reduction Strategies(不確実性低減の戦略)
 実際に、不確実性を減らすためには、まず何をするでしょうか?
いきなり相手に話しかけることもできますが、まず最初に皆さんがとる行動は「観察」ではないでしょうか?

Interaction Process Analysis によると、次の3段階がとられるとされています。
① Passive Strategy(受動的戦略)
観察がメイン。自分が新しい環境でどのような態度をとるべきか、また他者がどのような考えを持っているかのヒントを探る

② Active Strategy(能動的戦略)
周囲の人間に、リサーチする。
「ねね、●●ちゃんってどんな人?」と、去年のクラスメートに隣の席の子について尋ねることもできますね。

③ Interactive Strategy
直接相手から情報を集める

「観察」や「他者からの情報収集」によってある程度相手のことが分かったら
やっと、「対話的戦略」の出番です。

もちろん、かならずどんな場面でもどんな相手でも
この3ステップを踏むわけではなく、
ある程度周囲を観察したら、「当たって砕けろ」で
相手に話しかける人だっていると思います。

あくまで、一般的理論なのですが

この理論を通して、不確実性低減のプロセスは下記のように分析されます。


● 不確実性低減プロセスについての説明
1 言語コミュニケーションが増えれば、不確実性は減少し、さらに言語コミュニケーションはさらに増加する傾向にある
2 相手を受け入れているということを示す言語外コミュニケーションが増加すると、不確実性は減少する。
3 不確実性が増すと、情報を集めようとする。不安が減少すれば、情報を求めることはあまりしなくなる
4 対人関係の不確実性が高い場合、コミュニケーション内容の親密性は低くなる。
5 不確実性が増すほど、相互コミュニケーションを求める
6 同質性の共用は、不確実性の減少に役立つ。
7 すべてのコミュニケーションは、内容面と関係面を持つ
8 コミュニケーション・ネットワークや結びつきの共有は、不確実性を減少させる



さて、いくつか気になるポイントがありますが、個人的には3、5あたりがひっかります。

というのも、いったん不確実性を減少させ相手との良好な関係が築けると
人はそれ以上の情報を求ず、相互コミュニケーションもさぼりがな傾向があるんですね。
でもこれって、ちょっと危険。
結婚20年の夫婦なんで、なんでもわかってるだろうって
安心してたら、熟年離婚。
これって、やっぱり3,5の傾向のなせる業なのではないでしょうか?


ちなみに、
Bergerは1997以降、URTの調査対象を、長期的な関係にも広げています。
同じ人間との関係でも、状況の変化によって不確実性が高まることもあります。

たとえば、昇進によって、今までの同僚が部下になった、なんて場面も「不確実性」が増加する場面ですね。

そう考えると、人間関係は一度分かったと思っても
常に更新を続けることが必要なものだということが分かります。

むしろ、適度な「不確実性」は人間関係の健全さの表れともいえます。

皆さんも、「マンネリ」化してると感じる関係はあるでしょうか?
そう感じたとしたら、相手の変化を見落としているか
ちょっと無精をして、相手の情報を集めきれていないのかもしれません。

「プラダを着た悪魔」は私のお気に入りの映画ですが、
新しい仕事で成長するAndyは、恋人や古い友人との関係変化にとまどいます。
変わっていくAndyを、友人や恋人が理解できず「不確定性」→不信感へとつながっていくんですね。

「昔のアンディはこんなじゃなかった!」って。

でも、彼らの言う「昔のアンディ」ってそんなに重要なんでしょうか?

人は常に変化していくものです。
どのようなコミュニケーションスタイルをとれば
変わっていく彼女を認め、いい友人関係を続けることができたのでしょうか。

成長に合わせて新しい人間関係を築くと同時に、
古くから続く人間関係について、どのように整理するのか?
今まで通りに付き合えないことを、お互い納得できる方法はあるのか?

明確なだれにでも当てはまる答えなんてないけど
だからこそ面白い。

コミュニケーション学ってそんなお勉強なんです。

長くなりましたが、今日はこの辺で。

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